公務員が不動産投資をするメリットと失敗を防ぐポイント

公務員が不動産投資をするメリットと失敗を防ぐポイント

安定しているイメージが強い公務員だが、老後の生活を見据えて副収入を得たいと考える方も少なくない。

しかし公務員は民間企業と違い副業が禁止されているため、バレると懲戒免職などのペナルティを課されてしまう。

ただしアパート・マンション経営など不動産投資は、一定の条件内であれば認められるケースもある。

今回は公務員が不動産投資を行うメリット、失敗を防ぐためのコツや取り組み方を詳しく解説する。

 

公務員の不動産投資は副業とみなされる?

 

公務員は基本的に副業禁止

地方公務員法第38条では、次のように公務員の副業について規定されている。

職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業(以下この項及び次条第一項において「営利企業」という。)を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則(人事委員会を置かない地方公共団体においては、地方公共団体の規則)で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。

引用元:e-Gov法令検索

また国家公務員法でも公務員が営利企業を営んではならないとされており、副業は明確に禁止されている。

公務員が自ら会社を経営するのはもちろん、アルバイトなどの副業で収入を得ることも基本的にはできないということだ。

 

副業がバレたらどうなる?

公務員が勝手に副業しているのがバレた場合、最悪懲戒免職になる可能性がある。

状況によって異なるものの、免職を免れたとしても停職・減給・戒告などの処分があるため、隠れて副業をするのはリスクが高い。

うまく隠しているつもりでも、確定申告や人づてでバレるケースも少なくないようだ。

 

不動産投資は一定条件を満たせば違法にならない

ここまで述べたように公務員の副業は原則禁止であるが、不動産投資は一定条件をクリアできれば認められる可能性がある。

①:5棟10室より小さい規模で行う

②:家賃収入は年間500万円未満に抑える

③:管理業務を自分で行わない

部屋数や家賃収入の規模を抑え、管理業務を委託すれば公務員でも不動産投資できる可能性があるということだ。

ただし家賃収入は収益ではなく、純粋な賃料×部屋数で計算される点は注意してほしい。

仮に8室のアパート経営だとすれば、一部屋5.2万円の家賃設定がギリギリのラインとなる。

5.2万円 × 8部屋 × 12か月間=499.2万円

物件購入時の借入金や経費でキャッシュフローが赤字だったとしても、家賃収入額が500万を超えていれば違法になってしまうということだ。

ポイント1

 

公務員の不動産投資におけるメリット

 

融資の審査が通りやすい

民間企業のように倒産がなく減給やリストラの可能性も低い公務員は、与信が高く融資の審査に通りやすいのが大きなメリットだ。

資金調達のハードルが低く、物件の選択肢が多いため確実性の高い物件選びや経営計画策定が可能になる。

 

低金利で融資を受けられる

与信が高い公務員は、融資の際の金利条件も優遇される傾向がある。

低金利で融資を受けられれば、民間企業の方より高利回りの不動産投資が可能になるということだ。

 

仕事と両立しやすい

前述したように公務員の不動産投資は管理を委託することが前提なため、仕事と両立しやすい点もメリットと言えるだろう。

物件選定や経営計画策定にはある程度の時間と労力がかかるが、運用面では大きな負担は発生しないはずだ。

委託管理なら入退去の手続きやトラブル対応も任せられるので、手が回らず業績が悪化するという心配もないだろう。

 

収入アップで生活の幅が広がる

ある程度昇給のペースが決まっている公務員にとって、副収入による選択肢の広がりは大きなメリットと言えるだろう。

年間500万円未満と家賃収入の上限は決まっているが、積み立てていけば老後の蓄えや子供の進学費用などには十分な額ではないだろうか。

また自動車やマイホームなど額の大きな財産を購入する際も、副収入があると選択肢はかなり広がるはずだ。

 

相続税対策になる

アパート経営は代表的な相続税対策の一つだが、公務員の場合も例外ではない。

更地や現金より、アパートを建ててから相続したほうが相続税を安く抑えることができる。

親の土地や財産を相続するタイミングで、不動産投資を始めるのも一つの手だろう。

 

公務員不動産投資の失敗を防ごう

 

副業禁止規定の抵触を確実に回避する

前述したように公務員の副業がバレたときのリスクは大きいため、不動産投資する前に必ず関係部署に確認・許可を取るようにしてほしい。

仮に副業にならないための条件をクリアしていても、申請せず家賃収入を得ていると罰則の対象になってしまう可能性もある。

申請書類の不備や計算ミスによる家賃収入オーバーなど、些細なことで副業禁止規定に抵触してしまうケースも考えられる。

公務員としての収入減や失職といった事態にならないよう、漏れのない確認・申請を行うべきだ。

 

確実に利益を上げられる経営計画を立てる

不動産投資をするなら確実な経営計画を立てるのは大前提だが、公務員の場合はさらにしっかりリスクをつぶしておいてほしい。

公務員は民間企業のように倒産や失職のリスクはないが、他の副業ができないため収入をいきなり上げることは難しい。不動産経営で赤字が出てしまうと補填することができず、リカバリーできなくなる可能性がある。

またいくら確実性の高い経営計画でも、予測できない災害や社会現象によっていきなり家賃収入が絶たれる可能性もゼロではない。

必ず失敗パターンまで想定し、公務員としての収入や自己資金の範囲内でリカバリーできるようにしておくことも大切だ。

 

無理に高額な物件を選ばない

メリットで述べたように公務員は融資を通しやすいが、いきなり高額な物件から始めるのも避けたほうが良いだろう。

好条件で築浅の物件は利益も上げやすいが、万が一失敗したときのリスクも大きい。

不動産業者も公務員の与信が高いことは把握しているので、融資額いっぱいの投資物件を進めてくる可能性もある。

いきなり家賃収入の上限額を目指すのではなく、リスクの少ない範囲で不動産投資を始め、軌道に乗ったら拡大していくのが良いだろう。

 

確定申告の準備をしっかり行う

本業以外の所得が20万円を超えた場合、確定申告をする必要がある。

公務員の方は基本的に源泉徴収があり確定申告の機会がないため、間違いや申告漏れのないように準備をしておくべきだ。

ご自身で確定申告の勉強をするのも良いが、時間の確保が難しかったり自信が無かったりするなら、専門家への依頼も考えてみよう。

ポイント2

 

まとめ

不動産投資は公務員の方にとって貴重な副収入になり得るため、積極的に検討したい選択肢の一つだ。

ただし隠れて不動産投資しているのがバレたときのリスクは大きいため、必ず正規の手続きを踏んでほしい。

また申告漏れや手続きのミス一つが処罰につながる可能性もあるため、事前準備は慎重に行うべきだ。

メリットと注意点をしっかり把握し、安定した不動産経営を目指してほしい。

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最終更新日 : 2020年4月20日
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