不動産投資物件の購入を検討する際、新築か中古かは意見が分かれるポイントだ。新築・中古はそれぞれにメリット・デメリットがあるため、どちらが優れているか断定することはできない。
今回は新築アパートに投資するケースにスポットを当てて、メリット・デメリットを詳しく解説する。
目次
新築アパートに不動産投資するメリット
家賃相場が高く大きな利益を得られる
新築アパートは家賃相場が高く、家賃収入も大きくなるのが第一のメリットだ。賃貸住宅の家賃相場は毎年1%前後低下していくと言われている。新築時に家賃8万円の部屋も、築20年になると6.4万円まで相場が下がってしまうということだ。仮に10戸のアパートの場合、新築と中古で毎月16万円も家賃収入の差が付く可能性がある。
部屋数が多いアパートほど築年数による家賃相場低下の影響を受けるため、新築アパートに投資するメリットも大きくなる。
入居者を集めやすい
新築物件は根強い人気があり、経営開始直後から入居者を集めやすいのも大きなメリットの一つだ。新築直後は内装・設備が新しいため、内見時の印象が良く高い契約率が期待できる。仲介会社にとってもメリットが大きいため、優先的に紹介してもらえる可能性も高い。間取りや設備にこだわり競合と差別化することで、さらに入居者を集めやすい環境を構築できるのも新築ならではのメリットだ。
融資が通りやすい
前述したように新築アパートは高い入居率が期待できるため、金融機関の評価も高くなり融資が通りやすいのも特徴だ。想定通りの家賃収入を得られる可能性が高いため、ローン返済が滞るリスクが低いと判断されるケースが多い。
またアパートの担保価値も中古より新築の方が高くなり、耐用年数も長くなるので、長期ローンを組める可能性も高くなる。中古アパートより新築のほうが初期費用は高くなるものの、余裕のある資金計画を立てられるケースもあるのだ。
維持管理費が少ない
新築アパートは取得から数年間の間、建物の維持管理費用を抑えられるのも魅力的なポイントだ。木造や鉄骨アパートで最初のメンテナンスになる外壁屋根塗装は、10年前後が目安だ。水回り設備やフローリングなどは20~30年が交換時期の目安なので、取得後しばらくは大きな維持管理費が発生する可能性は少ない。
雨漏りなど突発的なトラブルによる出費リスクも、新築アパートの方が少なくなる。
新築アパートに不動産投資するデメリット
初期費用が多くかかる
中古物件購入より新築アパートの方が初期費用は多くなり、経営がうまくいかなかったときのリスクは大きくなる。1からアパートを新築する場合、建築費用以外に各種手続きや申請費用も発生する。
前述したように新築アパートはローン審査が通りやすい傾向はあるものの、初期費用が多いほど資金計画は厳しくなる。
収入を得られるまで時間がかかる
新築アパートは入居者集めからはじめなければならないため、家賃収入が発生するまでに時間がかかるの把握しておくべきデメリットだ。
中古のオーナーチェンジ物件なら入居者と家賃収入を引き継げるが、新築アパートは無収入期間が発生する。ローン返済が先に始まってしまう可能性が高いため、中古アパートより運転資金を多めに用意する必要があるだろう。
利回りが低い
前述したように初期費用が多くなる新築アパートは、利回りが低くなり回収期間も長くなる。ローン完済までの期間が長くなるため、予測できない需要の変化やトラブルが発生するリスクが高くなる。
例えば近隣企業の撤退や学校の移転・廃校などがあると、近隣の賃貸需要が大きく減少してしまう。新築で耐用年数が長いとはいえ、なるべく投資回収期間は短くするべきだろう。
キャピタルゲインは狙いにくい
新築直後は資産価値の下落率が高いため、キャピタルゲインを狙うのは難しいケースが多い。中古アパートは建物の価格がある程度下落した状態で購入できるため、地価の上昇によるキャピタルゲインが期待できる。一方新築アパートは土地価格が上昇しても、建物価格の下落の方が大きくなる可能性が高い。
前述したメリットを活かし、インカムゲインで確実に投資回収するのが基本となる。
経営計画を立てるのが難しい
新築アパートは過去の入居率や賃料データがないため、経営計画を立てる難易度も高めである。地域特性や家賃相場などを把握していないと、安定した経営計画を立てるのは難しいだろう。
これから不動産投資を始めるビギナーの方にとって、特に注意すべきデメリットと言える。
不動産業者選びが難しい
新築アパートはただ建てれば良いわけではなく、需要に合った土地選びや間取りづくりを含め、適切なアドバイスができる不動産業者を選ぶことが重要になる。
中古アパート選びより多くのポイントに注意が必要になるため、不動産業者選びの難易度も高くなる。
節税効果が低い
新築アパートは耐用年数が丸ごと残っているため減価償却期間は長くなり、一年あたりの節税効果は低くなる。減価償却期間の途中で手放した場合、残りの節税効果を失ってしまうのは大きなデメリットだ。また新築後3年間は固定資産税の軽減措置が適用されるが、評価額は新築アパートの方が高くなる。
新築戸建てへの不動産投資はアリ?
ここまでは新築アパート投資のメリット・デメリットを解説したが、新築戸建てについても触れておこう。
結論からお伝えすると、新築戸建ての不動産投資は、一定の条件がそろえば検討する価値はある。
新築の戸建て賃貸は競合が少ないため、ファミリー需要が多いエリアなら高い入居率と長期契約が期待できる。しかし戸数が1なので新築時の家賃ボーナスが少なく、空室期間中は収入がゼロになるのも大きなリスクだ。
土地相場が安くファミリー需要が期待できる郊外エリア、建築価格の安いローコストハウスメーカーなどの条件がそろえば、検討する価値はあるかもしれない。逆に物件価格が高い都市部では、新築への投資に対して十分なリターンを得るのが難しいだろう。
新築アパートの利回りはどれくらい?
新築物件は中古より利回りが低くなると説明したが、実際の相場もチェックしておこう。
エリアは弊社が推奨する国道16号線近辺に立地する物件とする。
新築アパートの利回り 6~7%前後
中古アパート(築30年まで)の利回り 8~10%前後
上記が利回りであるが不動産投資のパフォーマンスは単純な利回りだけでなく下記項目によって大きく左右される。
・借入金利、借入期間
・修繕費
・管理会社の質
新築の場合、利回りは低いが金利が低く、借入期間が長い、また築5年くらい迄は大きな修繕費も不要だ。また中古の場合は利回りが高いが金利が高く、期間も短い。そして修繕費も新築に比べて高く、大規模修繕が必要な場合は数百万円の費用が必要となるケースもある。
よってそれぞれの強みとリスクを把握して、購入前に綿密なシュミレーションをすることが重要となる。
新築不動産投資の失敗リスクは高い?低い?
新築アパート、ワンルームマンションなどの不動産投資について調べてみると、「やめたほうが良い」「高収入が期待できる」などさまざまな意見が散見される。これは新築物件に限った話ではなく、どのジャンルでも成功談・失敗談は両方あるものだ。
ここまでご紹介したように新築不動産投資には、複数のメリット・デメリットがある。当たり前のことだが、メリットが大きい経営計画を立てれば失敗リスクは低くなり、デメリットが大きければリスクは高くなる。
大切なのは、ご自身の資産状況や経営計画に合わせて、適切な判断をすることである。不動産投資においてどのような選択をする際も、必ずメリット・デメリットをフラットな目線で比較検討してほしい。今回の内容が皆様の確実な投資計画に役立てば幸いだ。