不動産投資の物件選びではさまざまなポイントのチェックが必要だが、床面積に壁芯面積・内法面積の二種類があることをご存じだろうか。
壁芯面積と内法面積は計算方法と実際の面積が異なるため、両者の違いをしっかり把握しておく必要がある。
今回は壁芯面積・内法面積の違いや計算方法などの基礎知識から、不動産広告・登記などにどちらの面積が使われるのか詳しく解説する。
目次
壁芯面積と内法面積の違い
まずは壁芯面積と内法面積それぞれの違いについて、図を見ながら把握しておこう。
実際に壁芯面積・内法面積を計算して、どれくらいの差が出るのか確認してみよう。
壁芯面積の読み方は「へきしんめんせき」で、壁の厚みの中心線で囲まれた床面積のことを意味する。壁芯面積には壁の厚み半分の面積も含まれるということだ。
内法面積の読み方は「うちのりめんせき」で、壁の内側で囲まれた部分の床面積となる。目で見た実際の広さが内法面積になるということだ。壁の厚みが含まれないため、壁芯面積より内法面積の方が数字は小さくなることを覚えておこう。
壁芯面積・内法面積の計算方法
実際に壁芯面積・内法面積を計算して、どれくらいの差が出るのか確認してみよう。
上図のように内法寸法が分かっている場合、5000×3000=15㎡と内法面積を求めるのは簡単だ。
壁芯寸法は、内法寸法に両端の壁厚の1/2を加えれば求められる。今回のように壁厚が全周同じ場合、200mmそのままプラスすれば壁芯寸法になる。
5200mm×3200mm=16.64㎡が壁芯面積だ。
ワンルーム程度の広さでも、壁芯面積と内法面積では1.64㎡の差が出た。物件の延床面積が広くなるほど差は大きくなるので、必ず両方の面積を確認するのが良いだろう。
壁芯面積と内法面積があるのはなぜ?
床面積の計算方法をわざわざ二種類用意しているのは、建物が完成する前の建築確認申請などの手続きのためである。
内法面積は壁の内側の有効寸法で計算する必要があり、建物が完成しなければ正確な数字を出せない。そのため、建築確認の段階では、設計上の壁の中心線で壁芯面積を計算して申請をするのである。
壁芯面積と内法面積の使い分けは?
3-1.不動産広告の専有面積は「壁芯面積」
不動産広告や物件サイトなどに記載される専有面積には「壁芯面積」が記載されることが多い。前述したように新築物件では建物が完成しないと正確な内法寸法が分からないため、壁芯面積を記載するのが一般的だ。
また、壁芯面積の方が面積を大きく表記できるため、中古物件でも使われていることが多い。不動産会社によっては壁芯面積・内法面積両方表記していることもある。
一戸建ての登記面積は「壁芯面積」
建築基準法では、一戸建ての登記は壁芯面積で届出するように定められている。建築確認申請では、建物の構造を基準にして法律に違反していないか確認するためだ。
一戸建ての場合、不動産広告・登記ともに壁芯面積が使われるため分かりやすい。
マンションの登記面積は「内法面積」
区分所有のマンションの登記は、内法面積で届出するように定められている。マンションの場合、不動産広告は壁芯面積、登記は内法面積となるので注意してほしい。不動産広告で見た面積より、登記書類上の面積の方が少なくなるということだ。
税金の優遇措置は「内法面積」
マンションで住宅ローン減税や固定資産税の減額措置などを受ける場合、登記簿上の内法面積が使われるので特に注意が必要だ。
例えば不動産広告で壁芯面積50㎡と表記されているマンションは、登記簿上の内法面積は50㎡未満となる。新築マンションの固定資産税軽減措置は床面積50㎡以上が要件となるため、この場合対象外となってしまう。
税金の優遇措置や補助金などは床面積が要件に含まれていることが多いため、内法面積をチェックしたほうが良いだろう。
壁芯面積・内法面積の調べ方
前述したように不動産物件情報には壁芯面積が記載されていることがほとんどだが、どちらなのか判断できないケースもある。壁芯面積・内法面積どちらなのか分からないときは、その物件を扱う会社に問い合わせてみるのが確実だ。
壁芯面積しか記載されていない場合に内法面積を知りたいとき、中古マンションなら登記簿謄本を閲覧するのも一つの手だ。登記簿謄本は法務局で数百円の手数料を支払えば誰でも閲覧できるので、確実に内法面積を知ることができる。
新築マンションや戸建て物件は登記簿で内法面積が分からないため、不動産会社に問い合わせるか、図面を取り寄せて自分で計算するしかない。
まとめ
壁芯面積・内法面積は、不動産投資をするなら必ず覚えておきたい情報の一つだ。どちらを使うかで面積が大きく変わることもあるので、物件を比較検討する際必ず確認していただきたい。今回の情報が皆様の不動産投資のお役に立てれば幸いである。