借地権付きの物件は購入して良い?メリット・デメリットや種類を解説

借地権付きの物件は購入して良い?メリット・デメリットや種類を解説

検討しているマンションやアパートに借地権が付いていた場合、購入して良いのかどうか迷う方は多いだろう。

借地権にはいくつかの種類があり契約期間や更新の有無といった条件が変わるため、物件の価格とあわせてしっかり検討すべきだ。

今回は借地権の種類や基本的な内容、借地権付き不動産物件のメリット・デメリットを具体的に解説する。

 

借地権とは

建物を所有することを目的に土地を借りる権利のことを借地権という。土地の持ち主を地主、借りた人を借地人と呼ぶ。

借地権を得ることで、土地を持っていなくても自宅・アパート・マンションなどの建築物を所有することができる。

駐車場や資材置き場などの短期契約と違い、借地借家法で契約期間の下限が決まっていて数十年単位で土地を借りることができるのが借地権の特徴である。

借地権の土地は自己所有と比べて建て替えや売却面での自由度は下がるが、建物の所有権は自分にあるので不動産運用することが可能だ。

借地権の種類によって存続期間が変わり、契約更新の有無や土地返却時の条件が異なる。

ポイント1

 

借地権の種類

借地権は大きく分けると5つの種類があり、それぞれ存続期間や更新の有無が異なる。違いを把握し、不利な契約を回避できるようにしておこう。

 

普通借地権

普通借地権は契約更新があり、当事者同士の合意があれば半永久的に土地を借りられる借地権だ。

存続期間は30年で、1回目は20年、2回目以降は10年ごとの更新となる。

契約違反など地主側が土地返還を主張する正当な理由がなければ、借地人が望む限り契約更新することができる。

契約満了時に建物が残っている場合は、地主に建物の買取を請求する「建物買取請求権」があるのも特徴だ。

 

定期借地権

定期借地権は契約更新が無く、あらかじめ決められた存続期間の間だけ土地を借りられる借地権だ。

存続期間は50年以上で、契約満了後は土地を更地にして返還する必要がある。普通借地権のような建物買取請求権は認められない。

地主側から見ると変換される時期が分かりメリットが大きいため、マンションやアパートでは定期借地権が設定されるのが一般的だ。

 

事業用定期借地権

店舗や商業施設などの事業を目的とした建物の場合、事業用定期借地権が設定される。

存続期間は10年以上30年未満・30年以上50年未満の2種類がある。10年以上30年未満の契約は更新がなく、建物買取請求権も無いので更地にして返却する。

30年以上50年未満の契約は更新でき、契約満了時に建物買取請求を行使することも可能だ(契約の更新、建物再築による期間の延長、期間満了における建物買取請求権が適用されないという特約は可能)。

賃貸運用のためのアパートやマンションは事業用建物に含まれず、事業用建物の一部でも住居用になっている場合は対象にならない。

 

建物譲渡特約付き借地権

定期借地権に、契約満了時に地主が建物を買い取る特約を付けることができる。

存続期間は30年以上で定めることができ、明け渡し時に建物を地主に時価で譲渡する契約だ。

建物を譲渡した後は地主が家主になり、そのまま借り続ける選択肢もある。

地主としては貸した土地に建物がついて返還され、賃借人は建物を解体する費用が掛からない点がメリットだ。

 

一時使用目的の借地権

工事現場のプレハブや仮設住宅の建築などの臨時設備の設置その他一時使用のために借地権を設定したことが明らかな場合の借地権で、借地借家法が適用されない。

存続期間は短期間の契約となることがほとんどである。

ポイント2

 

借地権付きの不動産物件を購入・運用するメリット

 

相場より安く購入できることが多い

借地権付きのマンションやアパートは自己所有物件より安く手に入れやすい点は、不動産運用において大きなメリットと言えるだろう。

購入金額が安くなれば当然利回りが高くなるため、投資金額をペイするまでの期間を短縮して早期黒字化につながる。

ローン返済額や頭金を押さえて自己資金を手元に残せるため、余裕のある運用計画を立てられるのもメリットの一つだ。

 

税金の負担がない

借地権のある土地の固定資産税や都市計画税は地主に支払い義務があるため、税額負担が減るのも細かなメリットだ。購入時の不動産取得税もかからない。

駅前など評価額が高い土地は税額も高くなるためメリットも大きくなる。

 

物件の選択肢が増える

借地権付きの土地も視野に入れると物件数の母数が増え、良い条件のアパートやマンションに出会える確率が上がるのも魅力的なポイントだ。

地主が手放したくないような好立地の土地に借地権が設定されることも多く、入居率や家賃が高い物件を見つけられれば安定した運用も見込める。

駅前や大学・施設の周辺など、利便性や人口が多い人気エリアは、借地権付き物件も視野に入れてみると見つかるかもしれない。

 

借地権付きの不動産物件を購入・運用するデメリット

 

ランニングコストは高くなる

借りた土地の不動産物件は地代が発生するため、月々のランニングコストは自己所有物件より高くなる。更新時に更新料の支払いが必要になることも想定される。

購入費用を抑えられても長期スパンで考えるとトータルコストが高くなるケースもあるため、運用期間全体でシミュレーションする必要があるだろう。

また周辺環境の変化による地価の上昇などがあると、地主から地代の値上げ交渉をされる可能性もある。

 

ローン審査が厳しくなる

金融機関から見ると借地権付きの不動産物件はリスクが大きいため、通常のローンより審査が厳しい傾向がある。

基本的に借地権付きの土地は抵当権を設定することができず(地上権なら可能)、担保価値が低くなるためだ。

また地代の滞納や重大な契約違反があると、地主から契約解除されて建物の抵当権も行使できなくなる恐れがある。

借地権付きの不動産物件をローン購入する場合は、金融機関の選定や資金計画が重要となるだろう。

 

売却しにくく価格も安くなる

借地権付き不動産は地主の許可が得られれば売却は可能だが、通常の物件より売却益は得にくい。

購入価格が安いというメリットは、裏を返せば売却金額も安くなるというデメリットになる。

契約期間満了時は物件を解体して土地を返却しなければいけないため、最後まで運用した場合はそもそも売却することができない。

借地権付き不動産物件は契約期間中の家賃収入で利益が出るように運用計画を立て、解体費用も見込んでおく必要がある。

 

地主への承諾料の支払いが必要になる場合がある

借地権付き不動産の譲渡には地主の承諾が必要になることがほとんどのため、建物を譲り受けるに場合等に承諾料の支払いが必要になるケースがある。

 

まとめ

借地権付きの不動産物件にはメリット・デメリットがあり、価格や利回りなどを踏まえてしっかり検討する必要がある。

借地権の種類によって家賃収入を得られる期間や返却時の条件が変わるので、トータル期間で利益が出るようにシミュレーションしてほしい。

今回の記事が皆様の安定した不動産経営に役立てば幸いだ。

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最終更新日 : 2020年4月20日
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