所有している土地や所有予定の土地は、適正に活用されているだろうか?
「都会の中心なのに?」や「こんな田舎で?」と疑問に思う土地活用を見ることがあるかもしれない。
今回は、土地活用方法のメリットやデメリットを解説し、適正な土地活用が導き出せるように記事を進める。
土地を有効に利用する一助となれば幸いだ。
目次
不動産投資による土地活用とは
土地活用といっても、土地を含む不動産の素人が簡単に手を出すと痛い目にあうかもしれない。土地の種類や立地条件、広さなどによって最適な活用方法が異なるからだ。
かといって、放置しておけば税金だけを納め続けることになり、荒れ地になると近隣住民から苦情で悩まされる可能性もある。
まずは、主な土地活用方法を知ろう。そうすれば土地活用のイメージが湧いてくるだろう。そこから掘り下げていくと有効な土地活用に結びつくかもしれない。
主な土地活用方法
最もポピュラーな土地活用は賃貸経営者になる。賃貸経営者になるには、所有している土地に不動産投資する必要がある。代表的な投資対象は以下の5つだ。
- 賃貸アパート
- 賃貸マンション
- 賃貸戸建て
- 駐車場
- テナント経営
この5つが代表的な投資対象だが、投資して土地活用する際には下記の7項目をチェックすると失敗する可能性を軽減できる。
このような項目をチェックし、投資する対象がその土地に適しているかを見定める必要がある。
土地活用のメリット・デメリット
不動産投資して土地活用するとなると、投資対象のメリットやデメリットをしっかり把握しておくほうが良い結果を得やすくなる。
メリット・デメリットを通して現況の土地を見れば、土地に適した投資対象も判断しやすくなる。また不動産投資のミステイクを抑えることができると、無駄な投資で損をする可能性も下げることができる。
賃貸アパート
アパートとは集合住宅や共同住宅をさす。マンションとの区別で明確な定義はないが、一般的に木造や軽量鉄骨造のもので2階建てまでの集合住宅をさす。
アパート投資に向いている土地は、駅から徒歩圏内のエリアや駅から距離があっても住環境の良い土地だ。また、都心に通勤しやすい場所にある土地も適している。
アパート投資のメリット
- 安定的な収益を得ることが可能
- 狭い土地から広い土地まで敷地面積に合わせて計画できる
- 土地の固定資産税や都市計画税の節税
- 相続税の節税
- マンションに比べて初期投資額が低い
アパート投資のデメリット
- 戸建てに比べてまとまった資金が必要
- ニーズがあるかなどの下調べに知識や時間が必要
- 土地の転用性が大きく下がる
- 空き家リスク対策が必要
アパート経営には空き家リスクがある。入居者の定着率が高まれば稼働率が高くなるので最新の設備を導入したり、女性向けの内装にしたりして差別化を図れるかがポイントになる。
アパートを立てると土地の転用性が下がるので、アパート経営で失敗しない事業計画を立てるようにしよう。
賃貸マンション
一般的にマンションは、鉄筋コンクリートなどで造られた堅固な集合住宅で3階建て以上のものをさす。明確な基準はないが、不動産投資においても同様に扱うことがほとんどだ。
マンション投資に向いている土地は、駅に近いエリアや人気がある住宅地などだ。また利便性の高いエリアも適している。
マンション投資のメリット
- アパートと比べて高めの賃料を設定できる
- 高い賃料により高収益が望める
- 建物の基本性能が良いので入居者を集めやすい
- 建物の耐用年数が長いので長期稼働が可能
- 高層の建物にして土地を最大限に活かせる
- 土地の固定資産税や都市計画税の節税
- 相続税の節税
- 堅固な造りなので自然災害にあいにくい
マンション投資のデメリット
- 多額の資金が必要
- 土地の転用性がなくなる
- しっかりした事業計画が必要
- 失敗した場合の資金回収が難しい
マンションを建てるにも1棟買いするのにも、高額な資金が必要となる。その上、空き家リスクもついてくる。新築マンションを建てるなら、より綿密な事業計画や資金計画を立ててミスのない投資を心がけよう。
賃貸併用住宅
賃貸併用住宅とは、1つの建物に自宅と賃貸住宅が併設されている物件だ。賃貸住宅部分の家賃収入で住宅ローンを返済できるので人気が上がっている。
賃貸併用住宅に適した土地は、駅からの徒歩圏内や住環境の良い土地だ。また、都心に通勤しやすいエリアも需要が高い。
賃貸併用住宅投資のメリット
- 家賃収入でローンを返済できる
- 条件を満たせば低金利の住宅ローンの対象となる
- 賃貸部分を2世帯住宅に転用できる
- 土地の固定資産税や都市計画税の節税
- 相続税の節税
賃貸併用住宅投資のデメリット
- 需要者が限られるので売却しにくい
- 貸主と同じ住宅なので敬遠される可能性がある
- 土地の転用性が下がる
家賃収入でローンを賄う計画であれば、賃貸ニーズを見極める必要がある。もし、入居者が定着しなければローンが家計を圧迫することになるかもしれない。世帯主ではなく、賃貸オーナーとしての視点で判断しよう。
戸建賃貸
戸建賃貸とは、戸建住宅を賃貸住宅として貸し出すことだ。アパートやマンションとの差別化を図ることができて、ファミリー層から一定の重要が見込まれる。
戸建賃貸に適した土地は、住環境がよくて公園や学校に近い場所だ。もちろん交通のアクセスが良ければさらに好条件となる。
戸建住宅投資のメリット
- 競合が少ないので稼働率が高い
- 入居者が購入を希望する場合もあるので売却しやすい
- 土地の固定資産税や都市計画税の節税
- 相続税の節税
- 狭小地や変形している土地でも有効活用できる
- マンションやアパートに比べて建築費が安い
戸建賃貸投資のデメリット
- マンションやアパートのよりニーズが劣る場合がある
- 修繕費や退去後のメンテナンス費用がかさむ場合がある
- 戸数が制限される
- 空き家になった場合はアパートやマンションより損失が大きい
戸建賃貸は同じ敷地面積でもマンションやアパートに比べて戸数が少なくなるので、稼働率が下がらないようにする工夫が必要だ。空き家になれば、庭が荒れ放題にならないようにメンテナンスも必要となるので常時稼働を心がけよう。
駐車場
土地を駐車場にする場合には、コインパーキングと月極駐車場の2種類がある。立地に応じてどちらが向いているかを判断する必要があるが、一部コインパーキングで、一部月極駐車場にするなど併用する手段もある。
駐車場投資に適した土地は、コインパーキングなら商業地や駅の近くなどで、月極駐車場なら住宅地や地方の駅付近となる。
駐車場投資のメリット
- 初期投資を抑えることができる
- 狭小地でも活用可能
- 建物がないので転用しやすい
駐車場投資のデメリット
- 節税効果がほとんどない
- マンションやアパートに比べて高収益が得られない場合が多い
- 車庫入れスペースの確保など無駄な部分もある
コインパーキングなら専門の会社に毎月一定額で貸し出すだけで良いので、費用も手間もかからない。月極なら自分で管理するか、不動産会社に管理を任せるかになる。手軽な土地活用を求めている人に向いている投資だ。
太陽光発電
太陽光発電による土地活用は、ソーラーパネルを土地に設置して売電によって利益を生み出す仕組みだ。
太陽光発電に向いている土地は郊外の広い土地で、坪単価が低くて日当たりの良い土地である。工場の屋根などを有効に活用する方法や太陽光発電事業者に土地を貸し出す方法もある。
太陽光発電投資のメリット
- 一定期間は国が定めた価格で買い取ってくれる
- 初期費用がマンションやアパートより安価
- 耕作放棄地を活用できる
太陽光発電投資のデメリット
- 電気の買取り価格が下がる傾向になっている
- 自然災害リスクがある
- 固定資産税がかかる場合がある
買取り価格が下がると太陽光パネル投資の回収が難しくなるかもしれない。しかし、農業従事者が高齢となって、耕作放棄地が増えている地域では有効な手段であることに変わりない。
貸地
貸地とは、土地だけを貸して建物や施設は借主が投資する仕組みだ。すでに所有している土地なら投資するとしても、地ならしや私道の整備程度となる。
しかし、土地を購入して貸地とする場合は多額の資金が必要だ。不動産投資で貸地経営を行う覚悟が必要である。
貸地に適している土地は、借主の使用用途に応じて多種多様だ。借主はアクセスの良い場所ならマンションや貸しビルを建てるだろうし、郊外なら資材置き場やドッグランをつくるかもしれない。
貸地投資のメリット
- 建築費が不要
- 定期借地契約なら確実に土地が返ってくる
- 借主が事業を行うので手間がかからない
貸地投資のデメリット
- 借主が破綻すると更地に戻すことが難しい
- マンションやアパートのような高収益が見込めない
- 土地の転用性が下がる
土地を定期借地契約で貸し出せば、契約期間中は地代収入が得られる。そして契約期間終了後は、確実に土地が返ってくるので一考の価値がある。
通常の貸地の場合は、自分が不利にならにようにしっかり相手と交渉しよう。難しいようなら躊躇せずに不動産契約のプロに相談・依頼するほうが無難だ。
等価交換
当地交換とは、所有している土地の一部と建物の一部を交換する方法である。
土地の所有者は土地を提供し、土地の借主が建築費用を負担する。完成後は土地の一部が借主の所有となり、建物の一部を土地所有者が取得する。その際に土地の一部と建物の一部が等価となっていることが重要だ。
等価交換に適した土地は、一定以上の広さがある土地である。住環境がよかったり、アクセスが良かったりするとさらに好条件となる。オフィスビルや高層マンションなどが建築できる土地なら有利な条件を引き出せる可能性があるだろう。
等価交換投資のメリット
- 建築費の負担がない
- 思い入れのある場所に住み続けることが可能
- 所有した建物の一部を貸し出すことができる
等価交換投資のデメリット
- 土地の転用性が大幅に下る
- 原状回復が難しい
等価交換の場合の契約相手は、建築業界の大手や準大手が相手となることが多い。相手がプロフェッショナルのため土地の所有者は必要な知識を持っていることが望ましい。
もし、自信がないようなら土地活用に詳しい弁護士や税理士などを伴って契約交渉を行えば安心できる。大きな資金が動くことが多いので、安易な契約は避けるほうが無難だ。
土地活用の選択方法と失敗しないコツ
不動産投資で土地活用する際は、土地の適正から投資対象を決めることが重要である。
経営者が何を優先して投資対象を判断するのかを把握しておく必要がある。ここでは経営者が重要視する項目について解説を進めながら、不動産投資に失敗しない土地活用にも触れていく。
収益優先の選び方
投資する限りは利益の追求は当然のことだ。ただし高収益を望むのであれば、不動産投資がローリスクとはいえ、それなりのリスクを背負う覚悟が必要だ。
また事業計画や資金計画のとおりに利益が出なくても、ある程度許容できる人に向いている選択方法といえる。
土地の有効活用において収益重視の投資対象となるのは、賃貸マンションや賃貸戸建住宅とされている。戸数の多いマンションなら、多くの家賃収入を見込める。賃貸戸建住宅なら需要が活発なので高収益を狙える可能性がある。
どちらも空き家リスクがあるので、常に対応策を練っておくと良い。
安定性重視の選び方
不動産投資して収益を得たいが大きな変動は好まない人もいるだろう。安定性を重視した投資対象なら、ファミリー向け賃貸マンションやコインパーキング経営などが向いている。
ファミリー向けの賃貸マンションなら、一度住みだすと子供が育つまで長く住む傾向があるので空き家リスクを抑えることが可能だ。
また、コインパーキングなら事業者が毎月一定額を支払ってくれるので安定性は高い。
初期投資を抑えた選び方
土地は有効に使いたいが不動産投資に多額の資金を掛けたくない人も多くいるだろう。初期投資を抑えることを重視している人なら、貸地や等価交換を視野に入れて計画を立てると良い。
どちらも建物や設備に自己資金を投資することなく、安定した収入を得ることが可能だ。しかし契約相手は不動産のプロフェッショナルや大手の建設会社となることが多い。
臆することなく対等以上に交渉を進めるには、不動産や法律の知識が必要だ。自信がないのなら迷うことなく、こちらも不動産のプロフェッショナルや法律の専門家を揃えよう。
大きなプロジェクトになる可能性もあるので、多角的に視て将来的にも損のない契約を結ぶことが肝要だ。
節税対策としての選び方
多額の遺産相続が近づいていたり生前贈与が予定されていたりすれば、節税したいと思う気持ちは誰もが持つものである。現実に賃貸住宅型の土地活用をすれば大幅な節税になる可能性は高いといえる。
しかし、賃貸住宅型不動産投資を行えば賃貸経営がセットになっている場合がほとんどだ。一括借上システムの会社を選んでも賃貸経営には変わりはない。
よって節税に囚われていると肝心な賃貸経営が上手くいかず、大きな損害を被るかもしれない。
節税対策として不動産投資するのであれば、しっかりと計画を立てて最後まで経営が成り立つことを確認してからにしよう。
不動産投資での土地活用は視野を広げて
不動産投資で土地活用するとなれば、どうしても賃貸型投資になる可能性が高くなる。賃貸型投資の場合、駐車場経営以外は土地に建物や施設を立てることになり、土地の転用性は下がるが確実に収益を得ることができる。
土地の適性に沿った土地活用を行えば、デメリットやリスクは軽減されて多くのメリットを享受することができるだろう。
そのためには大きな視野で投資対象を選別し、何十年も先を見越した経営計画とその土台となる知識が必要となる。