不動産投資を始めようと思っているけれど、二の足を踏んでいる人は意外と多いのではないでしょうか。その理由の1つに不動産の知識や不動産投資の知識が不足していることがあげられます。
今回は不動産投資に必要な不動産知識から、不動産投資に必要な基礎知識を解説します。この記事を読めば不動産投資に必要な知識を深めることができるでしょう。
目次
不動産の基礎知識は大きく分けて4つ
不動産投資を始めたり、すでに投資したりしている人であっても基本的な不動産の基礎知識は必要です。不動産の基礎知識は大きく分けて4つです。ここでは、その4つの不動産知識について説明します。
不動産購入の知識
不動産購入時の基礎知識は不動産相場の情報収集と確認、物件の情報を集めて選択、不動産契約に内容を理解するなどです。それらを踏まえた上で資金計画を立てる必要もあります。
不動産の周囲環境や土地査定情報などを確認し、購入予定の不動産に特別な契約内容があれば、その点を確認することも不動産購入の知識といえます。
不動産売却の知識
不動産売却の知識として、まず必要なのは対象不動産の周辺相場を知ることです。相場や取引動向を調べたり売却物件の情報を参照したりするとよいでしょう。相場を知っていれば不動産会社が対象物件の査定をする際に役立つことがあります。
次に信頼できる不動産会社を探し出すために、不動産会社の情報を収集する知識が必要となります。情報を得るために不動産会社検索サービスを利用すると近道になるでしょう。売買契約や手付金に関する知識も備えておくと、交渉を有利に運べるかもしれません。
不動産を借りるための知識
不動産を借りるための知識として自分の希望条件を整理して、優先順位を決めておくとよいでしょう。次に予算を決めます。その際に必要な知識は家賃以外に必要な費用について確認することです。
条件と予算が決まれば具体的に賃貸物件を探すことになります。不動産情報誌やインターネットで検索できますので希望条件にあう物件を探しましょう。
物件が見つかれば不動産会社に連絡し物件を見学することになります。気に入れば入居の申込みをし、契約前の準備をします。その際、重要事項の説明は必ず受けてください。ここで退去時に必要な手続きを確認しておくことも必要な知識となります。
不動産を貸すための知識
不動産を貸すための知識は、4つの基礎知識の中で最も複雑かつ多くの知識が必要です。具体的には以下のような知識が必要となります。
①不動産を貸し出す際の流れ
②賃料相場を調べる方法
③賃貸による収支計画
④仲介会社を選ぶ知識
⑤管理会社と管理方法を選ぶ知識
⑥入居者募集のための知識
⑦賃貸借契約の知識
⑧入居後のトラブル対応の知識
これらの知識を得ていると転ばぬ先の杖になります。しかし、あくまでも一般的な知識ですので税務や法的なことについては専門家に相談したり依頼したりするほうが無難といえます。
不動産投資で収益を得る方法は2つ
不動産投資において収益方法を知識として得ておくことは重要です。不動産投資に限らず投資の多くは「キャピタルゲイン」と「インカムゲイン」のいずれかで収益を得ます。ここでは、それぞれの方法や特徴について説明します。
キャピタルゲイン
キャピタルゲインは購入した不動産を値上がりした段階で売却し、利益を得る方法です。キャピタルは資本や資産という意味で、ゲインは収益や利益をさします。例えば、1億円で購入した土地を1億2,000万円で売却できた場合は、2,000万円の差益がでます。
この差益がキャピタルゲインです。逆に1億円の土地を8,000万円で売却した場合は2,000万円の損失がでます。この損失を「キャピタルロス」といいます。
インカムゲイン
インカムゲインは、所有している不動産を貸し出すことによって家賃などの賃料を得る方法です。所有している不動産を手放すことなく収益を得ることができます。インカムとは収入のことをさします。つまり、インカムゲインとは収入を得て利益を出すこととなります。例えば、1億円の土地にマンションを建てて賃貸事業をすることなどです。維持費は必要となりますが、家賃以外にも礼金などの収入を得ることもできます。
不動産投資の利回りは3つ
不動産投資に必要な知識の中には「利回り」があります。利回りとは、不動産購入した金額に対しての収入や収益の割合で、1年単位で表した数字です。
投資物件を探したり、賃貸物件を新築したりする際には、必要な数字ですので、理解を深めておくとよいでしょう。利回りには「想定利回り」「表面利回り」「実質利回り」の3種類がありますので、ここで説明していきます。
想定利回り
想定利回りは不動産購入額に対して1年間空き家が出ずに、満室であると想定した賃料収入の割合です。
コストなども考慮せずに算出しますので最大限の収入の目安と捉えます。想定利回りは以下の式で算出します。
想定利回り=1年間の満室想定の賃料収入/不動産の購入額×100
表面利回り
表面利回りは不動産購入額に対して、実質的な1年間の賃料収入の割合のことです。
空室のよる損失は考慮されますが、コストは考慮していませんので大まかな不動産の価値を知ったり、比較対照したりするときに用いると便利です。表面利回りは以下の計算式で算出します。
表面利回り=実質的な1年間の賃料収入/不動産の購入額×100
下記の記事もぜひ参考にしてほしい。
「表面利回りだけでは利益は分からない!平均相場や計算方法を解説」
実質利回り
実質利回りは物件の収益性を評価するのに適しています。
不動産の購入額に取得する際に生じた経費や税金を加えた金額に対して、賃料収入から、コストや税金を差し引いた利益の割合を算出しますので、最も現実的な数字となるのです。実施利回りは、以下の式で算出します。
実施利回り=(1年間の実質的な家賃収入-1年間の維持管理費や税金)/(不動産の購入額+不動産購入時に生じた経費や税金)×100
不動産投資の費用とレバレッジ
不動産投資に必要な知識の中で重要なのが、費用に関する知識です。主な費用としては、初期投資とランニングコストがあげられます。また、不動産投資では資金調達に関する利点があり、効率よく投資することが可能です。
投資を始める際に必要な費用
不動産投資の初期費用は、以下のようになります。
- 不動産の購入費用
- 不動産取得税や登録免許税などの税金
- 各種保険料
- 手数料
- 各種手続きに関する費用
- 入居者を獲得、不動産販売のための広告費
不動産の購入費は、立地条件や構造、築年数などで変わってきます。税金は購入額に応じて変動しますが、税率は同じです。
不動産投資のランニングコスト
インカムゲインで賃料から利益を得る場合は、ランニングコストがかかってきます。主なランニングコストは以下のようになります。
- 不動産投資ローンの返済費
- 減価償却費
- 固定資産税や所得税などの税金
- 各種保険料
- 維持管理費
- 修繕積立費
- 管理委託料
ローンの返済は融資を受けた場合のみです。減価償却費は経費とみなされますが、建物部分に投資した金額が月々返ってくると認識してよいでしょう。不動産所得は、損益通算が可能ですので、他の事業所得や給料所得と合わせて所得税を申告できます。
不動産投資ローン
不動産の購入資金が不足している場合は、不動産投資ローンによって融資をうけることになります。不動産投資ローンは不動産が担保となり、賃料収入で融資の返済が見込まれるので比較的に審査が通りやすいとされています。つまり、自己資金がすくなくても不動産投資ができる可能性があるということになります。
レバレッジについて
レバレッジとは、直訳すれば「てこの原理」のことです。不動産投資におけるレバレッジとは、小さな資金で高額な資産を得ることになります。例えば、自己資金が1,000万円で5,000万円の投資物件は購入できませんが、不動産投資ローンを利用すれば可能となります。このように自己資金を超える不動産を得ることをレバレッジといいます。
また、1,000万円の不動産よりも5,000万円の不動産のほうが、賃料収入が増えて利益が大きくなる可能性が高まります。このような不動産投資もレバレッジを効かした投資といえます。建物は減価償却によって実質的に使えるお金となります。ローンの返済を賃料収入内で済ませば、不労収入で数倍の価値をもつ不動産を取得することが可能となるのです。レバレッジはリスクを伴いますが、不動産投資の醍醐味といえるかもしれません。
不動産投資物件の種類を知る
不動産投資物件にも種類があります。キャピタルゲインを得るには不動産のプロフェッショナルでなければ難しいのが現実です。しかしインカムゲインで収益を上げる不動産投資であれば誰もがチャレンジできます。
ただし、適切な知識がなければ失敗することもあるのです。その適切な知識の1つとして賃貸物件の種類を知ることも重要となります。
区分マンション
区分マンションとは、マンションの建物を丸ごと購入するのではなく、分譲マンションなどの部屋単位に投資することです。不動産投資の初心者向けでマンション投資と呼ばれるローコストな不動産投資のことをさします。区分マンション投資にはワンルームからファミリータイプなどの種類はありますが、どのようなタイプであっても、1室単位で投資するのであれば区分マンション投資に分類されます。
1棟マンション・アパート
マンションやアパートなど1棟まるごと所有して賃貸経営をするのが1棟マンション・アパート投資です。アパートやマンションの規模にもよりますが1棟に投資するとなると、相当の資金を調達しなければならないのでハードルは高くなります。しかし区分マンションに比べると、収益が飛躍的に大きくなる可能性がありますので魅力がある投資といえます。
戸建て物件
戸建て物件への投資とは、戸建住宅を所有して入居者から家賃収入を得ることです。区分マンション投資との違いは、管理費や修繕積立費、バルコニーなどの使用料がかかりませんが、建物の強度や耐用年数は低くなります。借主から住宅設備に関するクレームがあれば、管理会社か自分で対応する必要があります。
シェアハウス
シェアハウスは、1つの区分マンションや戸建物件を複数の入居人に貸し出す仕組みです。リビングやキッチンなどは入居人たちが共有して使用します。貸主は通常の家賃よりも多くの収入を得ることができて、借主は通常の家賃よりも安価で部屋を借りることが可能ですので、若年層を中心に注目されています
貸地(低地投資)
貸地は土地を貸し出して家賃収入を得ることです。低地と呼ばれる場合もあります。貸主は、賃貸物件などを建てなくても賃料が入ってくるのでコストを抑えて収入を得ることが可能です。借主が貸地の上に建物を建てる場合は、借地権が発生するので、契約は慎重に検討するとよいでしょう。
借地権について解説している記事もございますのでご参考にしてください。
「借地権付きの物件は購入して良い?メリット・デメリットや種類を解説」
賃貸物件建てる際に必要な知識
不動産投資には既に建築済みの中古賃貸物件に投資するタイプと賃貸物件を新築するタイプがあります。中古物件に投資する際には、不動産購入の知識があれば済みますが、賃貸物件を新築する際には、不動産購入の知識に加えて新築するための知識が必要となります。ここでは、新築賃貸物件を建てる投資についての必要な知識を解説します。
賃貸物件を建てる流れ
賃貸物件を新築するにあたって、まずは流れを知っておく必要があります。ここでは、ハウスメーカーに建築依頼する場合の流れを説明します。
1.自分の土地に適切な賃貸物件は何かを調べる
まずは、所有している土地の立地条件を再確認しましょう。ワンルーム向けの立地やファミリー層の需要が見込まれる立地もあれば、商業ビルが望ましい立地もあります。土地の周辺のどのような物件が建っているのかも確認し、競合する物件はどのような構造で入居率は何%程度かも調べるとプランを立てやすくなります。
2.ハウスメーカーに土地活用相談を行いプランの提案を受ける
ハウスメーカーに所有している土地の活用方法を相談します。その際には、数社から提案を受けるようにしましょう。1社のみでは、適正なプランなのか検討できません。設計と収支プランは最低限必要となります。
3.依頼するハウスメーカーを決める
自分で下調べした内容と照らし合わせて、土地を有効活用し賃貸経営が成功すると思われるハウスメーカーと契約しましょう。納得できるメーカーが現れないようであれば、始めからやり直すぐらいの慎重さが求められます。安易な契約は避けましょう。
4.契約締結と本プラン作成
ハウスメーカーが決まれば契約です。実施設計図と本プランを作成してもらい最終合意します。
5.着工
資金調達ができて、行政庁から建築確認が下りれば着工です。
6.検査・引き渡し
工事が終了すれば、竣工検査を行なって引き渡しとなります。検査は、ハウスメーカーの社内検査・工事監理者による検査・消防検査・建築確認完了検査の4つです。もちろん自分自身で、細部までチェックすることも大事なポイントです。
7.管理会社と契約
管理会社との契約は、引き渡しが終わる前に済ませておくとよいでしょう。引き渡し前に入居者募集しておくと効率が上がる可能性があります。
不動産投資ローンを受ける場合は、本プランができた段階で申し込みします。事前に金融機関に相談し審査を受けていれば、融資の迅速に進み、より確実性が上がります。
建築依頼先について
マンションやアパートの建築依頼先には大手建築会社やハウスメーカー、工務店などがあります。ある程度、規模の大きなマンションを建てるのであれば、大手建築会社や大手のハウスメーカーからあたるとよいでしょう。部屋数の少ないアパートであれば、ハウスメーカーか地元の工務店となりますが、大手ハウスメーカーほど建築費が安い傾向があります。
間取りと収支について
マンションやアパートを建てる前に、収支プランを立てておくことは必要不可欠です。収支プランを立てる際に重要なのは、間取りや坪単価と賃料の関係です。賃貸経営では、単価で賃料が決まる不動産と間取りで賃料が決まる不動産の2種類があります。
住宅型の不動産の場合は、3LDKが15万円。ワンルームなら5万円というように賃料が間取りによって決まる傾向となっています。
住宅型以外の不動産は主に坪単価の相場で賃料が決まります。住宅系であっても坪単価や平米単価は重要な指標となりますので、賃料を決める前に算出し、検討材料に入れるとよいでしょう。
賃貸物件の管理方法
マンションやアパートの賃貸経営には、管理が必要となります。一般的な賃貸管理とは、家賃の集金・クレーム対応・修繕手配・退室時の精算・退室後のリフォームや清掃などです。管理する方法は、大きく分けて以下の4つとなります。
- 自主管理
自分で管理する方法です。 - 管理委託
管理会社に管理を委託する方法で、管理料は家賃の5%程度です。 - パススルー型サブリース
管理委託と同じ内容ですが、契約の形態が委託ではなく、賃貸借形式になります。 - 家賃保証型サブリース
管理会社が1棟全てを借り上げる方式で、所有者は管理会社から定額の賃料を受け取ります。管理も管理会社が全て行います。
必要な知識を得てから不動産投資を
ここまで、不動産投資に必要な不動産の知識について、基礎知識から新築賃貸物件を建てるのに必要な知識などを説明してきました。不動産投資にはこれ以外にも必要な知識が沢山あります。投資についての知識や資金計画や事業計画のなどの知識も重要な知識です。
不動産投資は、大きな資金が必要な投資ですので、急ぐことなく必要な知識を収集して始めるとよいでしょう。