特定建築物の定期報告はどんな建物が対象?内容や罰則規定を解説

特定建築物の定期報告はどんな建物が対象?内容や罰則規定を解説

建築基準法で定められる特定建築物は、所有するオーナーに定期報告の義務がある。

不動産投資物件も対象となるケースがあるため、報告を怠って罰金などを科せられないよう注意するべきだ。

今回は定期報告の対象となる建物の種類や、調査すべき内容などを詳しく解説する。

 

定期報告の対象となる特定建築物とは?

特定建築物は不特定多数の人が利用する建築物のことで、具体的には次のように定義されている。

1:建築基準法における建築物であること

2:劇場、映画館、旅館、ホテル、百貨店、マーケット、病院、旅館、ホテル、学校、博物館、美術館、下宿、共同住宅などの特定用途に使用されること

3:政令と特定行政庁が定めた階数や床面積などの条件を満たすこと

上記のように多くの人が出入りする特定建築物は、設備トラブルや老朽化が原因で大きな事故を招く恐れがある。そこでトラブルを防止するため、建物所有者による管轄自治体への定期報告を義務付けている。

階数や床面積といった建物の条件は自治体によって異なるため、管轄の建築指導課などに確認するのが良いだろう。

 

特定建築物定期報告制度の内容

特定建築物の調査・報告内容は国土交通省によって定められていて、建物全体が対象となる。調査報告の概要を把握して、指摘箇所がないように準備しておこう。

 

敷地及び地盤

地盤沈下や排水不良、避難経路から出口への通路の確保など、特定建築物のある土地に関する確認項目だ。

高低差のある土地の擁壁やブロック塀なども対象になるため、劣化している場所があれば事前に補修が必要になるだろう。敷地に関する問題は急に対応できないことも多いため、普段から維持管理しておく必要がある。

 

建築物の外部

外壁の劣化による剥落、基礎のひび割れやシロアリ被害などを建物の外部から確認する項目だ。

屋外看板やエアコンの室外機など、特定建築物に付随する設備も対象となる。外部は目視でチェックできる部分なので、オーナー自身が定期的に確認してトラブルを防止するのもおすすめだ。

 

屋上及び屋根

雨風を直接受ける屋上と屋根も、定期報告で確認すべき項目の一つだ。

屋上の場合はひび割れや反りなどの劣化が無いか、雑草が生えていないかなどを目視点検する。屋根材も劣化や損傷を確認し、防火地域・準防火地域の場合は建材や仕上げが基準に則っているか確認される。

 

建築物の内部

特定建築物の内部は、内装の損傷や劣化、耐火構造や防火区画など多くの項目が含まれる。

防火扉やシャッターの動作など、普段使わない設備も対象となるため、事前確認しておいた方が良いだろう。

 

避難施設等

火災などが発生した際の避難経路や排煙設備なども報告項目の一つだ。

非常階段が荷物でふさがっていたり、非常灯が切れたりしていないか確認する必要がある。

 

 

特定建築物の定期報告タイミングは?

特定建築物の定期報告タイミングは建物の用途や管轄する自治体によって異なる。

東京都で共同住宅の場合3年ごとの報告が義務づけられている。

新築の場合は初回免除となる。例えば令和5年に新築アパートを建てた場合は、直近の令和6年の報告が免除となり、令和9年が初回報告のタイミングになるわけだ。

ただし旅館やホテルなど宿泊施設の場合は毎年報告など、建物の用途によってタイミングは異なる。また自治体によってルールが異なる可能性があるため、必ず市区役所に確認してほしい。

 

参照元:定期報告が必要な特定建築物・防火設備・建築設備・昇降機等及び報告時期一覧

ポイント1

 

特定建築物の定期報告を怠った場合の罰則

特定建築物の定期報告は建築基準法で義務付けられており、怠ると100万円以下の罰則を受ける可能性がある。また実際は検査をしていないのに虚偽の報告をした場合も同様だ。

定期報告を怠ると罰金が発生するだけでなく、万が一事故が発生した際の責任はさらに大きくなる。

役所から検査を促す通知が来るケースもあるが、知らずに報告タイミングを過ぎてしまうケースも考えられる。前述した定期報告のタイミングを確認し、万が一期限を過ぎてしまった場合は速やかに所轄の役所に相談するべきだろう。

 

特定建築物の調査は誰に依頼する?

 

特定建築物を調査できるのは有資格者のみ

特定建築物は無資格では調査・報告できず、指定された資格を有する検査員に依頼する必要がある。

1級建築士

2級建築士

特定建築物調査員

建築物調査の資格はほかにもあるが、特定建築物は上記の3つの資格保有者しか調査できない。

 

特定建築物調査~報告の費用相場

特定建築物の調査から報告にかかる費用は、建物の種類や規模、築年数などの条件によって異なる。

例えば500㎡以下の共同住宅の場合、建築設備点検から報告書の作成・提出までで5~8万円前後の費用を設定している業者が多いようだ。

ただし建物の状態や点検する設備の量によって、追加料金がかかるケースも多い。また交通費や報告書の提出手数料など、業者によって項目や費用もまちまちである。

調査から報告までの相見積もりを取り、適正価格かチェックして業者を選ぶのが良いだろう。

ポイント2

 

まとめ

特定建築物には定期報告の義務があり、怠ったり虚偽の報告をしたりすると100万円以下の罰金を受ける可能性がある。

うっかり忘れて期日を過ぎることがないよう、しっかり制度の内容や報告タイミングを把握しておこう。

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最終更新日 : 2020年4月20日
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