不動産投資で宅地建物取引士の資格を取得するメリットはあるのか?

不動産投資で宅地建物取引士の資格を取得するメリットはあるのか?

これから個人で不動産投資を始める方にとって、宅地建物取引士の資格、いわゆる宅建士資格を取得すべきかどうかは気になるポイントではないだろうか?

取得しておけば損がないのはイメージできるが、具体的にどんなメリットがあるのかは気になるところだ。

この記事では、宅建士資格を取得することによる不動産投資のメリットを詳しく解説する。

どんな状況の方が宅建士資格を取得すべきかについても、記事の後半でまとめるのでぜひ参考にしてほしい。

 

不動産投資に宅地建物取引士の資格は必須?

まず宅建士資格なしで不動産投資をして良いのかが気になる方が多いだろう。結論としては不動産投資には宅建士資格というより、宅地建物取引業としての免許が必須となるケースと不要なケースが両方存在する。宅地建物取引業の免許を取るためには、専任の宅建士をおくことが一つの要件となるが、それぞれ細かく見ていこう。

 

宅建業の免許が必須となる不動産投資

所有資産の処分目的ではなく、売り買いの差額による利益を目的とした不動産投資を業としておこなう場合には、宅建業の免許が必要になる。

国土国通大臣または都道府県知事から宅建業の免許を受けるためには、専任の宅建士をおくことが一つの要件となる。

ポイント1

 

宅地建物取引士資格が不要の不動産投資

宅建業の免許が不要な不動産投資としては、アパートやマンションの大家として家賃収入を得るパターンが挙げられる。入居希望者と契約を締結する際の重要事項説明は宅建士により実施されることが必要だが、不動産業者に委託する方がほとんどだ。

入居者の募集や仲介業務なども「宅建業」に含まれるが、宅建業の免許をもった不動産業者に委託すれば問題ない。大家としてアパートや貸しビルの経営をすること自体は宅建業に含まれないため資格も不要となる。

 

宅建士資格を取得するメリット

実際に宅建士資格を取得した際の、不動産投資におけるメリットを考えてみよう。

 

不利な取引を防ぎやすい

宅建士資格の勉強範囲には、土地や地層、建物の構造から税金や建築上の法令など多くの内容が含まれている。不動産取引に欠かせない幅広い知識を身に着けることで取引内容や物件の詳細を細かくチェックすることができるようになり、結果的に不利な契約内容を察知できるのは大きなメリットだ。

不動産取引の契約内容は多岐にわたるため、一般の方では細かい部分までしっかり把握することが難しい。専門知識があれば一つひとつの内容を理解し、自分に不利な内容や見合わない条件を見抜けるようになる。

また、たくさんの物件を見比べる際も、売買しやすく利益が見込める物件を探しやすくなる。利益を上げにくい物件を避けることで、不利な取引自体を回避することにもつながるだろう。

 

取引相手からの信用度アップ

個人として不動産取引をする場合、会社組織と比べるとどうしても信用の面では劣ってしまう。

宅建士資格を持っていれば、個人とはいえ不動産投資に真剣に取り組む姿勢が伝わり、取引相手からの信用度アップにつながるだろう。専門知識を身に着けていることの証明にもなるので、交渉中の発言にも重みが出る。宅建士資格により信用度がアップすれば、紹介してもらえる物件や取引相手の幅が広がるかもしれない。

また、資金調達する際に金融機関からの信用度アップにつながる点もメリットの一つ。違法な取引やトラブルを起こさないという信用が得られるため、審査の際にプラスになる。

 

不動産業界に転職しやすい

宅建士の資格は賃貸・売買ともに欠かせないため、不動産業界への転職が有利になるのは大きなメリットといえるだろう。

本業としてお金を稼ぎながら、実際の現場で不動産投資のノウハウを得ることができる。不動産の知識を自分でゼロから勉強するより効率よく業界のことを知って、スピーディーに独立を目指す方にもおすすめだ。

会社に所属して不動産の最新情報を蓄積しながら、副業として自分の不動産投資に取り組むなどさまざまな選択肢が取れる。

人脈や情報のネットワークを築くこともできるため、最終的に独立を目指す方にとってもメリットは大きいといえるだろう。

 

不動産業者として起業できる

最初は副業で始めた不動産投資も、軌道に乗って利益が大きくなってきたら起業を考える方も少なくない。不動産業者として起業するためには、社員として宅建士資格保有者を雇う方法もあるが、タイミング良く見つかるとは限らない。

自分で宅建士資格を取っておけば、起業を決意してからのタイムロスがないのは大きなメリットだ。退職により資格保有者がいなくなることで、業務に支障が出ることも避けることができる。

 

宅建士資格を取得するデメリットや困難

不動産投資を始めるにあたりメリットが大きい宅建士資格だが、取得までの困難も少なくない。メリットとデメリットをしっかり吟味してから取り組まないと、途中で投げ出してしまう可能性もある。いい部分だけでなく大変な部分もしっかりチェックしていこう。

 

合格率が低い

たくさんある国家資格の中でも、宅建資格は比較的ハードルが高く、しっかり勉強しないと取得するのは難しいだろう。

宅建士資格は毎年20万人前後の受験があり、合格率は15%前後と過半数の方が不合格となっている。不動産という金額の大きな資産を扱うことになるため、法規や建物の構造など専門知識が求められる。

「絶対に合格する」という覚悟や目標は大切だが、万が一、一発で合格できなかった場合のプランも考えておこう。

 

勉強時間の確保が大変

前述したように合格率が高くない宅建士資格の勉強は、しっかり時間を確保して取り組む必要がある。

自宅学習や通学などさまざまな学習方法があるが、どの方法にしても働きながら勉強時間を確保するのは簡単なことではない。これから不動産投資に取り組む方にとっては、本業のかたわら投資自体の勉強も同時に進める必要がある。

取得を目指す前に、時間確保が可能かどうかスケジュールを確認しよう。

 

お金がかかる

宅建士資格のメジャーな勉強方法は自宅学習・通信学習・予備校などがメインだが、それぞれある程度の費用は必要となる。

一番お金がかからないのは自宅学習だが、参考書や過去問題集など、購入すべきものはたくさんある。合格率を高めるために複数の参考書を網羅する必要もあるだろう。

通信学習や予備校は会社によって費用が変わるが、回数や期間である程度まとまった金額が必要となる。講師による模擬テストの添削や質疑応答など、手厚いサービスほど費用も掛かる傾向がある。事前にかかる費用もしっかり下調べして、不動産投資の先行投資として許容できる範囲かどうか吟味しよう。

 

宅建士資格を勉強したほうが良い人

メリット・デメリット両方を考えたときメリットの方が大きく、積極的に宅建士資格取得を目指すべきなのはどんな方だろうか?それは下記である。

ポイント2

詳しく解説するのでご自身の状況と照らし合わせてチェックしてみてほしい。

 

時間が確保できる人

現在の本業や不動産投資をこなしながら勉強時間を確保する余裕があるなら、宅建士資格の勉強をするのはおすすめだ。

資格を取得できれば前述したようにたくさんのメリットがあり、勉強するだけでも日々の不動産投資に役立つ知識が身につくだろう。無理に勉強して本業や投資業がおろそかになっては本末転倒だが、時間があるなら積極的にチャレンジしてみてほしい。

 

不動産投資の知識は持っている人

よく「投資の勉強と宅建の勉強どちらを優先すべきか?」という議論を目や耳にすることは多い。この場合は投資の仕組みなどの勉強を優先したほうが効率的だが、すでに不動産投資についての理解があるなら次は宅建資格の勉強に取り組もう。実際に投資に関する手続きなどを経験した後なら、宅建の勉強もすんなり頭に入って効率が良くなる。

 

不動産投資のリスクをなるべく下げたい人

投資にはリスクがつきもので100%安全な運用というものはないが、リスクを避け安全性を高めることはできる。なるべくリスクを下げて不動産投資をしたい方は、宅建資格の勉強をすると良いだろう。

法規や建物の構造など不動産に関する専門知識を身に着けることで、取引の内容をより深く理解することができる。契約内容に不利な内容が含まれていることを事前に察知できれば、投資のリスクを回避することができる。

 

不動産投資に役立つその他の資格

宅建士以外にも不動産投資に役立つ資格はたくさんある。なかでも不動産投資に取り組む方に人気の資格をピックアップしてご紹介する。

 

不動産鑑定士

一般の方には予想しづらい、建物や土地の正確な価値を鑑定する国家資格が不動産鑑定士だ。不動産の鑑定は不動産鑑定士の独占業務となっているため、資格を持っていない人は鑑定することができない。

不動産資格の中では高難易度の資格とされているが、取得すれば国や民間からの鑑定依頼を請け負うなど不動産業界で活躍の場は広がる。自分の不動産投資に関しても、正しい価値を見極めることでリスクを避け利益を最適化することができるだろう。

 

マンション管理士

マンションの大規模修繕など維持管理や管理組合の運営など、マンション管理をトータルカバーする国家資格だ。実際にマンション管理業務を行うのではなく、トラブル解決やスムーズな運営を行うためのコンサルティング業務が主な目的だ。

分譲マンションの売買などの際、適切な管理が行われているかを判断することで、運用しづらい物件を避けることにつながる。家賃収入目的の運用でも、住みやすいマンションに投資すれば空室率を下げることができるだろう。

 

ホームインスペクター

ホームインスペクターは「住まいのお医者さん」とも呼ばれる民間資格である。戸建て・マンションに関わらず劣化状態や不具合などを診断し、必要な処置や予算の算出などを行う。

不動産投資の際は劣化が進んでいる物件を避けることができ、修繕費がかかる場合など交渉を有利に進められるかもしれない。賃貸として運用する場合も、設備トラブルなどがあった際に自ら適切な処置と費用を素早く計算して業者に依頼することができる。

売却の際も、しっかり診断して取引相手に建物の状態を伝えることで信頼度のアップにつながるだろう。

 

簿記検定

大きな金額が動く不動産投資では、細かいお金の流れも把握する必要があり、簿記や会計の勉強は重要だという意見が多い。会計士や税理士に外注する人も少なくないが、自ら売り上げや減価償却費などの会計状況を把握しなければ、正確な投資の判断ができない。

また、不動産投資による利益は課税対象となるため、副業や個人事業の場合確定申告する必要がある。申告間違いを避け無駄な経費を抑えることも、結果的に不動産投資の利益アップにつながる。資格を取得しないままでも、簿記検定の勉強をするメリットは大きいといえるだろう。

 

まとめ

不動産投資を始めるにあたって、宅地建物取引業の資格は必須ではない。

しかし、取得することで様々なメリットがあるため、時間や金銭的な余裕があるならぜひ取っておきたい資格だ。

不動産投資に役立つ資格はほかにもたくさんあるので、どんどんスキルアップ&信用アップを目指し、安定した投資を目指そう。

 

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最終更新日 : 2020年4月20日
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