不動産物件の売買や経営について情報収集する中で、不動産投資顧問という資格を目にしたことはないだろうか。
不動産投資顧問は投資家や不動産オーナーからの依頼を受け、助言や運用代行を行う専門家だ。
今回は不動産投資顧問の基本的な資格内容や種類から、投資について相談するメリット・デメリット両面まで詳しく解説する。
選び方のポイントも併せて紹介するので、相談先の選定にも役立てていただきたい。
目次
不動産投資顧問とはどんな資格?
不動産投資顧問は不動産の売買に必要な知識を持ち、助言やサポートを行う専門家のことである。
この規程は、不動産投資顧問業を営む者について登録制度を実施し、その事業について必要な事項を定めることにより、その業務の適正な運営を確保し、不動産投資顧問業の健全な発達を図り、もって投資者の保護に資することを目的とする。
管轄しているのは国土交通省で、一定の基準をクリアした業者や個人でないと不動産投資顧問として登録できない。
不動産投資顧問の登録基準の一例
・不動産コンサルティング技能登録、不動産鑑定士などの資格保有者
・一億円以上の不動産投資業務に携わった経験および2年以上の経験期間
・資本金の額が1億円以上の株式会社
・投資一任業務の収支見込みが黒字
・顧客からの資産運用状況の紹介に短時間で回答できる体制
上記は登録基準の一例だが、不動産に関する知識はもちろん、経営状況や運用体制まで厳しくチェックされる。5年ごとに更新や毎年の営業報告書提出義務などもある。不動産投資顧問は任意登録資格のため、投資の助言などは無資格でも行うことができる。しかし不動産投資顧問として登録している業者は、より専門性の高い助言やサポートが期待できるだろう。
不動産投資顧問の種類と業務内容
不動産投資顧問業は次の2種類があり業務内容が異なる。
一般不動産投資顧問
不動産物件を分析して、投資家に対し助言などを行うのが一般不動産投資顧問だ。
具体的には不動産の価値や利回りなどを分析し、投資・運用両面の助言を行うこともある。
一般不動産投資顧問の業務は助言までとなるため、最終的な投資判断は投資家自身が下す必要がある。
しかし前述したように不動産投資顧問は専門知識を有しているため、心強い相談相手になる可能性が高いだろう。
総合不動産投資顧問
総合不動産投資顧問は、一般不動産投資顧問の業務範囲に加えて、投資判断や運用まで任せる「投資一任業務」も行うことができる。
助言を仰ぐだけでなく、不動産物件や資産を預けて運用まで任せることができるのが特徴だ。資産運用会社や投資信託委託会社に、運用を再委任するケースもある。総合不動産投資顧問は、前述した登録基準に加えて宅地建物取引業免許が必須となっている。
不動産投資顧問に相談するメリット
専門家である不動産投資顧問への相談は、第三者の立場から投資すべきかどうかアドバイスをもらえるのが大きなメリットである。
不動産会社などの担当者も相談に乗ってくれるが、基本的には自社の物件に投資してもらい利益を上げることが優先となる。
一方不動産会社顧問は特定の会社や物件に肩入れすることがないため、公平な目線で投資判断に助言してくれる可能性が高い。
また不動産物件単体の分析だけでなく、業界全体の動向や世界情勢なども踏まえたアドバイスが期待できるのもメリットと言える。個人では勉強や情報収集に限界があるが、専門家の知識を借りることができるのは心強いポイントだ。
総合不動産投資顧問なら手続きや実際の運用なども一任できるため、副業として不動産投資に取り組む方の負担軽減にもなる。
不動産投資顧問に相談するデメリット
不動産投資顧問に相談したからといって、必ず投資が成功するわけではない点は注意すべきデメリットだ。
不動産投資顧問の業務はあくまでアドバイスやサポートであり、助言に従って失敗しても補償してくれるわけではない。投資判断を一任した場合も同様だ。
相談料や成功報酬も当然発生するため、万が一失敗してしまった場合は損失に加えて金銭的負担もかかってしまう。
また不動産投資顧問なら一定水準の知識やスキルは期待できるが、相談先によって差がある事も注意すべきポイントだ。
具体的な不動産投資顧問選びのポイントは次の章で解説する。
不動産投資顧問選びのポイント
個人か法人か?
不動産投資顧問は個人・法人両方が存在するため、それぞれの特徴を踏まえてどちらに相談するか判断すべきだ。
法人には不動産投資顧問が複数人在籍している可能性が高く、担当者の当たりハズレリスクがある。一方高い組織力を活かした情報収集や充実したサポートが期待できるのはメリットだ。
個人の不動産投資顧問は担当者の当たりハズレがなく、投資だけで一定の成果を上げている実績があるので高いスキルが期待できる。ただし投資の考え方や方針の差が大きくなるため、ご自身の投資スタイルに合う顧問を選定する必要があるだろう。
実績は十分か?
個人・法人どちらのケースでも、投資顧問としての実績は必ずチェックすべきポイントだ。
過去何件ぐらいの実績があり、実際にどれくらいの利益を出しているのか確認してほしい。
どんなに有名な企業の不動産投資顧問でも、実績が出ていないのなら投資が成功する可能性は低い。逆に小さな法人や個人の不動産投資顧問でも、十分な実績があるなら相談する価値はあるだろう。
どこまで任せるのか?
総合不動産投資顧問に相談する場合、助言・手続きの代行や投資判断などどこまで任せるのかもしっかり検討すべきポイントだ。
不動産投資顧問の料金体系は成功報酬制・月額制・時間制などさまざまだが、業務範囲と難易度が高くなるほど料金も増加する。
ご自身の投資スキルや本業・副業の兼ね合い、期待できる収益や相談料などを踏まえ、委託する範囲を考えるべきだろう。
まとめ
資格が無くても投資の助言やサポートは可能だが、不動産投資顧問はより専門性の高いアドバイスが期待できる。
特に投資を始めたばかりの方や判断に悩む方は、投資顧問に相談するメリットも大きいだろう。
相談先選びが重要になるため、いろいろな不動産投資顧問と話をして今回ご紹介したポイントをチェックしてみてほしい。