不動産投資における費用一覧!初期費用~賃貸経営維持費用まで解説

不動産投資における費用一覧!初期費用~賃貸経営維持費用まで解説

これから不動産投資を始めようと考えている方、不動産投資を始める際には、不動産取得費用以外にもさまざまな費用が発生することをご存知でしょうか。

不動産投資は初期費用、維持費用、やめるとき、常に費用が発生する投資です。

不動産投資で順調に収益を上げられれば良いですが、なかなか収益性が見込めなければ厳しい状況が続きます。

“初期費用、維持費、やめるとき、いつどこでいくらぐらいの費用が発生するのか?”ということについて把握しておけば前もって費用の準備ができます。

費用の準備ができていれば、ある程度安心しながら不動産を運用していけます。

それでは不動産投資に発生する費用について詳しく見ていきましょう。

 

不動産投資の初期費用一覧

不動産投資を開始する際には、多額の初期費用が必要です。

会社員として働く方が全ての資金を現金で準備しておくのは容易ではありません。

不動産をローンで取得し、その他に発生する費用を自己資金で準備するなどの工夫が必ず必要になってきます。

初期費用について詳しく解説した記事もあるので併せて確認してください。

「不動産投資にかかる初期費用は?賃貸経営を行うための費用について」

この記事では初期費用については簡単に紹介し、不動産投資にまつわる費用について網羅的に紹介していきます。

まずは、不動産の初期費用について、

・不動産取得費用

・各種税金

・各種手数料

・登記費用

について解説していきます。

 

不動産取得費用

不動産投資を開始するには、当然に投資用物件を購入しなければいけません。

中には自分で所有する物件を投資物件として利用される方もいるかもしれませんが、一般的には購入からスタートです。

不動産の購入費用は、購入を検討している土地の場所や構造、新築なのか中古なのかによっても大きく異なります。キャッシュフローを作成した上で、無理のない程度の不動産投資から始めてみましょう。

 

頭金は何割が相場?

不動産を取得する際に購入費用全額についてローンを組むのか、一部頭金を入れるのかによっても、キャッシュフローが変わってきます。

無理なく不動産投資を開始し、安定した収益を得たいのであれば頭金を入れておいたほうが良いでしょう。

しかし、不動産の購入費用以外にも不動産投資開始時にはさまざまな費用が発生します。自己資金のすべてを頭金として入れてしまうのは正しいとは言えません。

では、不動産取得時に頭金を入れる際には何割が相場なのでしょうか。その答えは“3割程度”です。1,000万円の不動産であれば頭金として300万円、5,000万円の物件であれば1,500万円となります。

ちなみに、不動産投資を開始する割合が多い年齢層は40代であり、40代の平均貯蓄額は500万円前後であると言われています。

何が言いたいかと言うと、投資用不動産購入時にセオリーに従い3割の頭金を入れようとすると、かなり限られた不動産しか購入できないということです。

仮に、貯蓄しているお金すべての500万円を不動産購入費用の頭金に入れたとしましょう。そうすると1,700万円程度の不動産しか購入できません。

もしも本気で不動産投資を開始したいのであれば、潤沢な資金を貯め込むか、リスクを背負いながらでも頭金を減らすかしなければいけません。

 

いくらまで借りられる?

ローンを組んで不動産投資を開始される方は、“不動産投資ローン”を利用しましょう。

各金融機関によって名称が若干異なりますが“住宅ローン”とは異なる点にだけ注意してください。

住宅ローンはあくまでも、自分が居住する不動産を購入する際に組むローンの総称です。一方で不動産投資ローンは不動産投資を目的とした、不動産購入費用について組むローンです。

では、不動産投資ローンの借入限度額はいくらほどなのでしょうか?

ポイント

収益性については、現実的なキャッシュフローの提示を求められますし、銀行から質問をされても的確に答えられる準備をしておく必要があります。

 

各種税金

不動産を購入した際に発生する税金と言えば、不動産取得税、印紙税の2種類です。

不動産取得税は下記の計算式によって算出されます。

【固定資産税評価額×税率=不動産取得税】

不動産取得税は不動産購入後半年~1年半内に請求されますので忘れずに準備しておきましょう。

印紙税とは、契約書類に添付する収入印紙の代金で、契約金額が高ければ高いほど印紙税が高額になります。

ただし、租税特別措置法により不動産の譲渡に関する契約書については、印紙税の軽減措置が講じられ、下記のように税率が引き下げられています。

不動産投資に係る印紙税額一覧

記載された契約金額 本則税率 軽減税率
10万円以上50万円以下 400円 200円
50万円以上100万円以下 1,000円 500円
100万円以上500万円以下 2,000円 1000円
500万円以上1,000万円以下 1万円 5000円
1,000以上5,000万円以下 2万円 1万円
5,000万円以上1億円以下 6万円 3万円
1億円以上5億円以下 10万円 6万円
5億円以上10億円以下 20万円 16万円
10億円以上50億円以下 40万円 32万円
50億円以上 60万円 48万円

参考︰国税庁|不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

 

各種手数料

ローンを組んで不動産を購入した場合には、各種手数料が発生します。具体的には保証料(借入金額の2%程度)と事務手数料です。

事務手数料には定額制と定率制がありますが、定額制であれば3~10万円程度に設定している金融機関がほとんどです。

一方で定率制は借入金額の2%前後が相場ですので、3,000万円程度の借り入れであっても、60万円の事務手数料が発生します。

定率制と定額制では大きな差が発生するので、注意しましょう。

定率制と定額制について詳しく解説した記事もありますので併せて確認してみてください。

「定額法と定率法どっちを選ぶべき?使い分けから具体例までを解説」

 

登記費用

登記費用と言ってもいくつかの種類があります。

ローンを組んで購入した物件であれば抵当権設定登記が必要であり、新築であれば表示登記も必要です。

その他、登記を司法書士などに依頼すれば司法書士に支払う報酬も発生します。どの程度まで自分で行うのかについても考えながら手続きを進めていきましょう。

 

不動産維持にかかる費用一覧

不動産投資は開始時のみならず維持をするにも様々な費用が発生します。

不動産維持にかかる具体的な費用は、

・税金

・修繕費

・保険料

・管理費

の4種類です。

それぞれどの程度の費用が必要なのかについて詳しく解説します。

 

税金

不動産を取得した際にも発生する税金ですが、不動産を所有(維持)している際にも発生します。

不動産を維持している際に発生する税金は“固定資産税”です。

不動産投資を始めようと考えている方であれば、固定資産税という税金は聞いたことがあるでしょう。

では、固定資産税はどのような基準で課税されるのでしょうか。

固定資産税の基準は、毎年1月1日時点で土地や建物などの不動産を所有している人に課される税金です。

支払回数は年4回の分割払いがもっとも一般的であり、通知書に従って支払いを済ませます。

固定資産税額については“固定資産税評価基準”に基づいて、評価員と呼ばれる方が調査をし、各市町村で決定します。

そして、不動産投資には固定資産税以外にも税金が発生します。固定資産税以外の税金は所得税、住民税です。

また、一般的な家賃収入であれば消費税は課税されないので併せて覚えておきましょう。

では所得税、住民税について詳しく解説していきます。

まず、不動産投資にまつわる家賃収入は基本的に“不動産所得”として所得税が課税されます。

そして、不動産投資を行っている方にとって勘違いしやすいのが、“事業所得”です。

事業的規模(5棟10室の原則)で不動産経営を行っている方の場合は、青色申告特別控除や青色事業専従者給与などのメリットが受けられます。

しかし、家賃収入はあくまでも“不動産所得”ですので、事業的規模で不動産経営を行っていても事業所得にはなりません。

ではどのような場合の不動産経営は事業所得になるのでしょうか?

それは、下宿など食事を提供する貸室の賃貸料や従業員宿舎の家賃収入などが、事業所得や雑所得となる可能性があります。

不動産所得の課税所得の計算方法は、下記のとおりです。

【総収入金額-必要経費=不動産所得の金額】

必要経費として認められるものとして、固定資産税や減価償却費、修繕費などがあります。

そして、所得税が課税される所得のほとんどには住民税も加算されます。

住民税は、均等割・所得割・利子割の3種類があり、それぞれの課税額は下記のとおりです。

・均等割

道府県民税 一律1,500円
市町村民税 一律3,500円

・所得割

一律10%(道府県民税4% 市町村民税6%)

・利子割

公社債や預貯金などの利子に対して、道府県民税5%が課されますが、不動産所得とは関係がありません。

※都民税も税率は変わりませんが、地方税法上は別扱いとなっているため道府県民税と記載しています。

 

修繕費

建物などの不動産は、時の経過に伴って劣化していきます。また、時の経過に伴い新しい設備などを導入しなければ新しい入居者を望めません。

もしも劣化した建物を修繕せずに放置しておけば、事故につながる可能性もあります。

細かい部分で定期的な修繕が必要で、数十年おきには大規模な修繕も必要になることでしょう。

 

保険料

不動産投資を行う上で、さまざまなリスクを懸念しなければいけません。

例えば、火災や自然災害、自分が死亡したあとのローン返済リスクなどです。

他にも不動産投資ならではのリスクとして、孤独死リスクや建物の老朽化に起因した事故リスクなどがあります。

いずれのリスクについても前もって保険などでカバーしておければ安心です。

不動産投資で可能性のあるリスクと対応できる保険の種類は下記のとおりです。ぜひ参考にしてみてください。

【火災リスク】

火災のリスクについては、火災保険でカバーできます

入居者に加入してもらっても良いですが、入居者がいないときに火災が発生すればオーナー自身で修繕しなければいけません。

なお、火災保険はいくつかの種類があり、水災や落雷などの自然災害までカバーできます。

費用は建物の規模によっても異なりますが、おおよそ数万円~10万円/年です。

【地震リスク】

日本は世界的に見ても非常に地震の多い地震大国です。

そんな日本ですが、基本的に地震保険は単独加入ができません。

最近では単独で加入できる地震保険も少なからず販売されていますが、まだまだ少数で一般的には火災保険に付帯する形で加入します。

ちなみに、地震が原因で発生した火災の場合は火災保険の補償外なので注意してください。

地震保険の費用はおおよそ10万円前後/年と考えておいて良いでしょう。もちろん、建物の規模などによっても異なります。

【建物の劣化による事故リスク】

自分が保有する不動産の劣化が原因で事故が発生し、入居者や他人にケガを負わせてしまえば当然に賠償責任が生じます。

建物の劣化などによる事故に対応する保険として、施設賠償責任保険があります。幅広く補償してくれる保険ですが、保険料は5,000円前後/年と割安なのでおすすめです。

【孤独死リスク】

入居者が室内で死亡してしまっていれば、特殊清掃費用やリフォーム費用が発生します。入居者に身内がいれば身内に請求しても良いですが、孤独死をされる方であれば身内がいない可能性もあります。

孤独死リスクに対応した保険としては、家主費用特約という保険があります。家主費用特約は通常、火災保険に付帯する形で加入しますが単独での加入も可能です。

費用は300円程程度/月、年間でも3,600円とかなり割安なので必ず入っておいたほうが良いでしょう。

 

管理費

投資用不動産を自分で管理していくのであれば、管理費用は発生しません。しかし、はじめて不動産を持ち、不動産投資に慣れていない方であれば管理を不動産管理会社へ任せたほうが良いでしょう。

不動産管理会社へ支払う管理費の相場は、家賃の5%前後です。

仮に1室7万円、10室1棟アパートをすべて管理委託するのであれば月々3.5万円となります。ただし、別途更新料や事務手数料が発生する場合があるので注意しましょう。

 

不動産投資をやめるときに発生する費用

不動産は時の経過に伴い必ず劣化していきます。投資物件が古くなり入居者が集まらなくなれば、取り壊して新しい建物を建て直すのもひとつの手段です。

また、まだまだ入居者が集まるような物件であっても、なんらかの理由で売却しなければいけない状況になってしまうこともあるでしょう。

では、不動産投資をやめるときに発生する費用はなにがあるのでしょうか。詳しく見ていきましょう。

 

建物と土地を売却する場合

建物と土地を両方売却する場合には、建物の取り壊し費用は発生しません。しかし、売却時には印紙税や仲介手数料、登記費用などの費用が発生します。

印紙税は、不動産取得時にも発生する費用ですが契約書の金額に応じて売却時にも発生します。そして、不動産会社を通して不動産を売却するのであれば、不動産会社に対して支払う仲介手数料が発生すると覚えておきましょう。

不動産会社が不動産の売買を媒介し、手数料を受け取る際には、売り主、買い主双方から受け取れますが、金額に上限を設けています。

取引額 報酬額
200万円以下 取引金額の5%
200万円以上400万円以下 取引金額の4%
400万円以上 取引金額の3%

なお、仲介手数料は上限額いっぱいまで請求されるとは限りません。上記報酬額はあくまでも、法令で定められている上限であるということを覚えておきましょう。

そして、不動産取得時には抵当権設定登記として登記費用が必要でしたが、不動産売却時には抵当抹消登記や、司法書士へ支払う報酬が発生します。

 

 

建物を取り壊して土地だけ売却する場合

建物を取り壊して土地だけ売却するのであれば、印紙税、仲介手数料、登記費用の他に、建物の取り壊し費用が発生します。

ほとんどの家屋解体業者では構造や規模をもとに坪/値段で計算します。地域や家屋解体業者によって費用に差が出ますが、おおよその解体費用は下記のとおりです。

構造 解体費用/坪
W造 約3.5~5万円
S造 約5.5~7万円
SRC造 約8~9万円
RC造 約7~8万円

上記坪単価はあくまでも目安です。実際に取り壊しを検討されているのであれば、複数の家屋解体業者に見積もりの依頼をされることをおすすめします。

 

まとめ

今回は不動産投資における費用について紹介しました。

不動産投資は、不動産を取得すれば直ちに開始できる投資ではありません。さまざまな準備が必要であり、準備には費用が発生します。

不動産を取得するために数千万円の投資をし、その他の細かい部分でも費用が発生します。不動産投資での利回りを向上させるためにも諸費用を抑えることも大切です。

ただ、不動産投資を行う上でリスクヘッジも当然に必要です。バランス良く費用分散していけるように考えながら不動産投資を行いましょう。

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最終更新日 : 2020年4月20日
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